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流産(切迫流産を含む)


妊娠成立後、なんらかの原因で胚、胎児が発育しなくなった状態を流産といいます。
妊娠12週未満を早期流産、12週から22週未満までを後期流産と言います。妊娠の約10から15%が流産となり、その多くが早期流産です。流産の原因としてもっとも多いのは胎児の突然の染色体異常と言われています。

その他には母体の黄体機能不全や、子宮内感染、子宮筋腫などの子宮の異常、母体の免疫異常で胚を受け入れない、などがあります。これらの母体の原因を調べることは可能で、原因がわかれば治療法もあります。
 
すくなくとも3回の流産を繰り返す習慣性流産を発症した際には母体の精密検査が必要です。ただし原因不明の場合も多いのが事実です。
 
 
症状による流産の分類
<完全流産>
子宮内容が完全に排出された状態
 
<進行流産>
出血、下腹部痛(子宮の収縮による痛み)が強く子宮内容が排出されつつある状態
 
<稽(けい)留流産>
子宮内に胎嚢(ふくろ)が発育しているが胎児の発育を認めない
 
<不全流産>
大部分は排出されたが一部が残っている状態
 
<化学的流産>
妊娠反応は陽性だが超音波検査で胎嚢を認めない時期での流産です。妊娠反応を調べていなければ、少し遅れた生理と区別はつきません。妊娠検査以外に妊娠を証明できないので科学的と呼んでいます。
 
以上の診断がつけば、完全流産、化学的流産以外は子宮内容の除去術をおこないます。手術をしないと長期間出血をきたします。
 

 
切迫流産
出血、下腹部痛をきたし流産しそうになっている状態をいいます。症状が改善すれば正常妊娠の経過に復帰可能です。
 
子宮収縮による切迫流産では、収縮抑制剤を使用します。流産の予防にはなりますが、母体の心拍数が増加して動機を感じます。
 
安静が基本です。症状によって安静の程度は異なります。走ったり、飛んだり、性交渉などの下半身に強い振動や刺激を加えない限り日常生活は可能です。
 

 
早産と切迫早産
妊娠22週0日から36週6日までの間に分娩に至ると早産といいます。22週未満では出生児の生存に期待できないので流産と表現し区別しています。

日本では5%前後が早産で出生しています。いままさに早産が起きそうな状態を切迫早産といいます。
 

 
切迫早産の原因
<絨毛羊膜炎>
膣の中の細菌感染により炎症が子宮頚管に波及すると子宮口を柔らかくさせたり、
子宮が収縮し陣痛が発来する物質が産生されます。
 
<頚管無力症>
炎症もないのに子宮頸管が簡単に開大します。妊娠の都度発症する傾向にあります。
 
<その他>
子宮筋腫が変性を起こしたり、胎児を圧迫することにより早産になることもあります。
 
多胎妊娠などで子宮内が窮屈になると自然と陣痛が早くくることがあります。
 

 
切迫早産の症状
下腹部に緊満感を感じたり、下腹部全体に重い感じがしたり、腰が痛いと訴える方もおられます。児頭が下降してくると膀胱が圧迫されて尿が近くなったりします。症状があっても気づきにくいひともいます。
子宮頸管が細菌感染しているとおりもの(帯下)が増え、子宮口が開きかけると性器出血をきたすようになります。
 

 
切迫早産の治療
まず安静が必要ですが、どの程度の安静かはそれぞれの症状によって異なります。
 
細菌性膣炎に対しては膣錠を使います。
 
子宮収縮に対しては塩酸リトドリン(一般にはウテメリンやルテオニンといわれています)という陣痛抑制剤を投与します。胎児にとっての強い子宮収縮は、海底にもぐったときに受ける水圧のようなストレスです。これを除いてあげる薬です。ただし、薬の副作用として母体の頻脈をきたし動機、息切れを起こしやすくなります。
 
これで効果がなければ硫酸マグネシウムという筋肉を弛緩させる薬を使います。多量に使うと呼吸に必要な筋肉まで弛緩してしまうので注意が必要です。
 
子宮口が開いてきた場合は子宮頸管縫縮術をおこなう場合もあります。ただし、この手術をおこなうことでかえって破水などをきたす恐れもあるため全例に行うということはありません。