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母乳育児 ➁

 
母乳育児の進め方
今まだ妊娠中で母乳育児の準備をしたいと思われる方は、妊娠中から多くの準備はいりませんが乳頭や乳房の心配、持病や手術の既往等で不安を感じられる場合はぜひご相談下さい。

出産後は、まだ母乳分泌が十分始まっていない分娩直後から積極的に赤ちゃんにおっぱいを吸ってもらうことが大切です。
赤ちゃんの様子をよく観察し、泣くまで待つのではなく「おっぱい」を飲みたそうな動き(手を口に持っていく、吸うような動きをみせる、そわそわする)を始めたらすぐに応じて授乳をしましょう。授乳時間の長さや授乳の回数は制限せず、赤ちゃんの求めるままにあげて下さい。

一般に赤ちゃんは、片方の乳房から10分から30分かけて母乳を飲みます。また、一日の平均授乳回数は8回から12回と多いものです。授乳間隔があき乳房が張りすぎて不快なときは、赤ちゃんを起こしてもいいので、授乳するか、搾乳をしておっぱいを出すことで、母乳の産生を高いまま維持できます。

赤ちゃんは空腹でなくてもおっぱいを口に含みたいだけのこともあります。時には授乳直後なのに再びおっぱいを欲しがることもあります。そんなときお母様は母乳不足ではないかと心配になるでしょう。しかし安易にミルクを足す前にスタッフにご相談下さい。

おしゃぶりや人工乳首は乳頭混乱の原因になり母乳育児を阻害するので避けましょう。ワイヤーブラで締め付けたり、乳首を拭き取るのもやめましょう。
 

 
おっぱいのトラブル
<陥没乳頭>
乳輪をつまんだとき、乳頭が陥没するようなら、陥没乳頭といいます。赤ちゃんは乳頭ではなく乳房に吸い付くので、必ずしも問題になるとは限りません。
しかし赤ちゃんの吸い付きに問題があるなら、ニップルフォーマーの装着で矯正することもできますし、授乳直前に搾乳器でやさしく吸引することで乳頭を引き出すようにすることもできます。

<乳頭の痛み>
「おっぱい」を吸われることは、元来痛いものではありません。乳頭の痛みの大半は、授乳姿勢に気をつけることで予防できます。
痛みが出たら、赤ちゃんを適切に乳房に吸い付かせるために、早めに授乳時の赤ちゃんの姿勢をチェックする必要があります。
また乳房の張り過ぎを予防し、痛くても授乳を制限してはなりません。ニップルシールドを使ってはいけません。
授乳は痛くない方から行いましょう。
赤ちゃんの舌小帯が短いために生じている場合もありますので、ご相談下さい。

<授乳をいやがる・吸い付けない>
授乳中にどこか不快であったり、その位置で痛い思いをしたことがあるのかもしれません。
またおっぱいに吸い付かせるために、頭の後ろを押していないでしょうか。
また、これまでに人工乳頭やおしゃぶりを頻回使用している場合も乳頭混乱を起こして母の乳房を嫌がることがあります。
無理強いせずに、かつ哺乳瓶やおしゃぶりはやめてベビーカップで搾乳を飲ませましょう。

・ 授乳スタイルが問題であったり、乳房の張りが強すぎる場合もあります。
・ 授乳姿勢をチェックし赤ちゃんの顔がまっすぐ乳房に向かう様にし、大きな口を開けるまで待って吸い付かせます。
・ 人工乳首は与えず頻回の授乳や搾乳で張り過ぎを予防します。
 

 
母乳不足
母乳育児をやめたり、ミルクを足す理由で一番多いのが、お母様自身が「母乳が足りない!」と思い込んでしまうことです。「自信不足」なのか本当の母乳不足なのか区別しなければなりません。授乳回数や時間、尿便の様子をチェックして、スタッフにご相談下さい。

<母乳不足のサイン>
・ 1日に平均18g以下の体重増加
・ 成長曲線に沿って成長していない
・ エネルギーを保存するために長く眠る
・ 反応が鈍く弱々しく泣く、もしくは甲高く泣く
・ 尿が濃縮し少ない、便が非常に少なすぎる
・ 常におっぱいに張り付いている

<十分母乳を飲んでいるサイン>
・ 24時間に少なくとも8回おっぱいを飲んでいる。
・ 吸啜のリズムがゆっくりになりゴクゴク飲んでいる音が聞こえる。
・ 赤ちゃんが生き生きして筋緊張がよく、皮膚の状態も健康である。
・ 24時間に色のうすい尿で6から8枚のおむつを濡らし、3〜8回ウンチをする。

本当の母乳不足なら、24時間に10〜12回以上の授乳をして、1回の授乳に両方の乳房を何度も吸わせましょう。赤ちゃんの体重をはかり、母乳の量が増えるまでミルクで栄養を補います。おしゃぶりの使用はやめましょう。お母様の食物や水分摂取も十分に行い、可能な限り身体を休めてリラックスして下さい。
 

 
乳汁うつ帯と乳腺炎
<乳汁うつ帯とは?>
乳管閉塞による乳汁うっ帯は、授乳が頻回にできなかった時、乳腺の一部から母乳が除去されないとき、乳房に局所的な圧迫がある時に生じます。赤ちゃんの吸着が上手くできているかチェックし、頻回に授乳を行い、吸いむらをなくす様に色々な抱き方を取り入れます。

閉塞のある方の乳房から先に授乳し、授乳前にしこりに温湿布を当て、優しくしこりから乳頭にむけてマッサージしてみましょう。赤ちゃんの下顎がしこりの方を向く様なポジションが有効です。またブラジャーはきつすぎないでしょうか。


<乳腺炎とは?>
乳腺炎は、ケアをしていない乳管閉塞や乳汁うっ帯が原因になったり、乳頭の傷から乳腺に細菌感染を生じた状態です。局所的な痛みと発赤、熱感を伴います。全身症状として発熱や頭痛、倦怠感も生じます。
抗生物質や鎮痛薬の内服が必要ですが、頻回の授乳は続けて下さい。

できれば授乳後も乳腺炎になっている所から搾乳しておきましょう。膿瘍に進展した場合は、切開・排膿をした方が早く治癒することもあります。
 

 
離乳食
<「離乳食」開始時期>
離乳食を開始する時期は生後6ヶ月以降からで十分です。
産後6ヶ月は「おっぱい」だけで育てることが望ましく、母乳不足の場合はミルクを加えますが、白湯や赤ちゃん用ジュースやお茶などを与えることはむしろ望ましくないと言われています。「離乳食」の開始は半年過ぎで十分で、赤ちゃんの消化機能の発達と知的・運動発達の時期から、この頃よりも早く離乳を進める必要はありません。

生後6〜7ヶ月になると一人でおすわりができ、目の前の物に興味を持って手を伸ばすことができる様になります。この時期が来てこそ新しい世界に好奇心を持ち、固形食を自分で掴んで口に運ぶ楽しさがわかる様になるのです。

離乳期は赤ちゃんが初めて様々な食材に触れる大切な時期ではありますが、「おっぱい」育ちの赤ちゃんはある程度母乳を通してお母様が食べた色々な味覚をすでに経験していると言われます。また「おっぱい」で顎をよく使った赤ちゃんは、かむ力の獲得もよく、離乳食用にドロドロに調理したものよりは、ある程度舌で押しつぶせる柔らかさの形あるものが喜びます。


<理想的な離乳食>
特別なものを用意し熱心に離乳食に慣れさせることよりも、お母様の美味しそうに食べている食事の一部を(例えばお味噌汁の具など)、安心できるお母様の膝の上で赤ちゃんに分けてあげる方が素敵な食事だと思います。

家族と食卓を囲む幸せ、皆で一緒に食べる楽しみを経験させてあげることこそ、この時期に最も大切な「食育」です。
生後1歳頃まで「おっぱい」は制限せず、「離乳食」はあせらずのんびりが鉄則です。
テーブルを挟んで赤ちゃんと格闘しながら離乳食を口に押し込むなんて、本末転倒ですよね。
赤ちゃんだけでなく家族みんなの食事にこそ配慮を!